ハワイへ行ってきた。業界恒例の懇親旅行。(といっても、うちが参加するのは2度目だが)
昨年春に行ったとき、NYテロの後だったから、どこも閑散としていたのと、空港の警備が強化されていたのが印象的だった。
搭乗手続きをして手荷物検査のゲートをくぐったあとも、搭乗の前にランダムに荷物チェックをしていた。
たまたま、わたしが呼び止められた。机のうえにカバンをおかされ、白い手袋をはめた女性係員が中身を調べる。
わたしのカバンは化粧ポーチと本くらいしか入ってなかったから、すぐ終わったが、わたしの前の女性は
あわててつっこんだらしい下着やらスニーカーやらを引っ張り出されて、気の毒だった。
そのあと、旅行でJALとキャセイを利用したが、こんな警備はなかった。
しかし、今回はもっとすごかった。
わたしたちが利用したのは成田発のアメリカ系の航空会社だったが、貨物室に預けるスーツケースすべてチェックを受けた。
化粧ポーチ、靴の箱もあけられる。本もパラパラとページをくる。着替えをいれた布の袋も、両手で手触りを確認する。
スーツケースの底や側面も手でさわって、不審物がないか確認する。
女性の荷物は女性係員が、男性のは男性係員が担当するし、「これはなんですか。開けていいですか」と、
一応断りながら調べるとはいえ、あまり愉快なことではない。
それがすんで手荷物検査。ここでは、靴、肩にかけたカーディガン類・・・男性はベルトもはずされ、すべてレントゲンに通される。
車椅子に乗った、どう見てもしわくちゃのおばあさんまで、背中両手両足、係員が手で触って確認する。
やれやれ。これも安全のためなのね・・・
しかもこれが入国のときだけではない。オアフ島からマウイ島へ、マウイからオアフへ戻るときもやられるのだ。
どう見てもお気楽な観光客ばかりなのに・・・そこまでしないと安全が保証できないというのか。
帰りが問題である。いくら女性係員とはいえ、わたしが日頃オンナであることを忘れているとはいえ、
洗濯してない着替え類には触れてほしくない。見られたくない。
いつもならおおざっぱにつっこむのだが、今回ばかりは神経質に整頓して袋に小分けして詰める。
空港に着くと、なんと、スーツケースのカギをあけておいてくれという。
帰りは全員ではなくランダムにチェックをするが、カギがかかっているとドライバーでこじあけられるという。
なんてこったい! 乗客荷物が盗難にあう危険性よりテロが怖いのか。乗客が信用できないのか。
デパートの店員さんは、退出するとき商品を持ち出してないかガードマンにチェックされる。
だから、彼女たちは透明のビニールバッグを愛用している。
そのうち、スケルトンのスーツケースが発売されるんじゃないかな。だれか、商品開発しませんか・・・
無粋な歓迎にへきえきした行列から
「ハワイでこれでは、本国に行くときはどれくらいチェックされるのかしらね」
「本国には行きたくないね」という声が聞こえてくる。
観光でなりたっている地域は、ただでさえテロやSARSで打撃をうけてるのに、更に敷居を高くするなんて。
観光だけではない。仕事でしょっちゅうアメリカへ飛んでいるビジネスマンはさぞかし煩わしい思いをしていることだろう。
それに近々、パスポートに指紋登録を義務付けるというではないか。ほんとに、なんてこったい!
アメリカ。あんた、おかしいよ。
移民が作った国でしょう。自由と自主の多民族国家でしょう。
一人勝ちの超大国になって、異なる文化や宗教や価値観を認めない尊大な態度が反感を買っていることに気がつかない。
たしかにテロは許されることではない。
でも、テロを生み出す素地に思いを馳せることができない狭量さや、世界の警察官を自任して他国にドカドカ入り込む傲慢さが
この過剰な警備につながっているのかと思うと、やりきれない気持ちだ。
安全な旅のためなら、多少の不愉快は我慢しろってか・・・
だけどさ、機内食につくナイフやフォークだってその気になれば立派な武器になるでしょう。
一人二人なら防衛できても乗客全員がナイフを持って立ち上がったら・・・
「アクセサリーをいれた小箱まで開けるんだよ。時限爆弾でも入っていると思うのかねえ」と家で話したら、
息子夫婦は言った。「じゃあ、スーツケースの中にビックリ箱とか匂い箱とか仕込んだら」
「これはなんですかって聞かれても、黙っていれば・・・開けてビックリ!」
そうだね。今度行くときはそうしようか。武器よりも花を。憎悪ではなく寛容を。不快には笑いを。