母娘 de オランダ


 
   

アムステルダム到着後、いったん南に下がってから、だんだん北上するというコースをとった。


[ デン・ハーグ デルフト ]

朝、次女&ベビーと合流。
厚いパンにどっさり具をはさんだ、暖めないクロックムッシュみたいなサンドイッチとコーヒーで朝食。
この大型サンドイッチは、あちこちで食べたが、どれも美味だった。
書店で、縦46cm 横32cmと、バカでかい本を見つける。
いろんな項目の、版画による図鑑になっている。思わず買ってしまう。



「和訳で日本でも売っていたらバカみたい」と娘に言われるが、帰国後調べたがナシ。アマゾンでも売ってなかった。ほっ

  


アパートに本をおいてから、列車で小一時間。デン・ハーグへ。

 

旧東京駅に似たデン・ハーグ駅。
というより、東京駅はオランダ人がアムステルダム駅をモデルにして設計したのだから、似ていて当然。
デン・ハーグはオワダさまご勤務の国際司法裁判所で有名だが、それ以外にも国会議事堂、大使館などがあり、行政の中心。
落ち着いたハイソな町らしい。

まず、マウリッツハイス美術館へ行く。
ハイスは house 、つまり、マウリッツ家の館をそのままつかった美術館である。
池を見渡す正面ロビーで荷物やコートを預け、イヤホンガイドを借りる。これまた、日本語がある。
吹き抜け部分をぐるりと囲んだ回廊のような展示室に並んだ絵は、質量とも、ほどほどによい物が揃っている。
大きな美術館は、たしかに立派だが、疲れる。ここは館跡だから、どっしりした木の床や漆喰の壁が地よい。
レンブラントの「人体解剖図」や、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」「デルフト眺望」など、じっくりゆっくり見る。

わたしが無知だったのか、高校の美術教科書にルーベンス、レンブラントは載っていたし、知ってもいたが、
フェルメールの名は最近まで知らなかった。
世界的にも、フェルメール人気は最近のことらしい。
出かける前、『フェルメール全点踏破の旅』(朽木ゆり子)という新書を読んだ。
フェルメールは30点ほどの絵しか残ってない。寡作な画家だった。
その、世界各地に散らばっている作品を訪ねつつ、当時のオランダ事情、画家の暮らし、絵画技法、
さらには、ヒトラーやその他権力者による美術品の収奪の歴史などを、わかりやすくひもといた本だった。
そこにも書いてあったが、「真珠の首飾りの少女」の絵も、真珠の輝き、絹の服の質感などが素晴らしかったが、
「デルフト眺望」は、写真で見るより数倍も素晴らしかった。
建物、船、水面・・・それぞれの質感や光と影が、見る者の心をとらえる。
ああ、はるばる来た甲斐があった。満足、満足。

ベビーカーごと隠し(?)エレベーターに案内してくれたりと、係員はみな、感じのいい対応だったが・・・
窓越しの光が絵画に直接あたっているんですけど・・・いいんでしょうか。それだけ、おおらかなのかなあ。

ミュージアムショップで、次女が『ババールの美術館』という英語版の本を見つけた。
ババールが美術館を作り、名画を展示する。
「天地創造」、ムンクの「叫び」、ゴッホの「自画像」などの名画が、すべて、象バージョンになっているという洒落た絵本。
「日本語版で、もう出てるかもね」と言いながら購入。帰ってから調べたら・・・はい、ありました。(苦笑) ババールの美術館


 

↑ 国会議事堂を見てから、トラムでデルフトへ。


デルフトは、ロッテルダムとデン・ハーグの中間あたりの小さな町。
オランダがスペインから独立したとき、マヨルカ焼き(いかにもスペイン風、おおらかな色彩の絵つけ)の陶工たちが大勢移り住んだ。
その後、中国陶器や伊万里の影響を受け、白地に青の濃淡の絵付けが特徴のデルフト焼きが定着したという。

   

ここも水路とレンガ作りの建物が美しい。 切り妻の屋根、明り取りの窓、レンガに白い漆喰・・・基本は同じだが、
ブリュッセル、ブルージュ、デン・ハーグ、そして、デルフトと、それぞれ微妙にニュアンスが違う。
ここデルフトは、全体に明るいトーンでシックな雰囲気。


 

 ↑ 少し斜めに傾いている旧教会。

 

新教会の周りには土産物屋がずらり。
わたし、これでも、陶器にはちょいとうるさい。・・・というほどでもないが、見るのは好きだ。
中澤さんの『デルフトブルーを追って』の記念としても、なにか一つと思っていたが、いかにも観光用の皿などはいや。
手の込んだ絵付けの皿、特に王立ポーセレン・フレス社のは、裏に書き手のサインが入っていて、
たしかにいいのだが、それなりに高額。
うーん、どこに飾るんだ、など、迷っているうち、どんどん寒くなる。結局見送り。
ちなみに、ポーセレン・フレス社製は、直径12〜15cmくらいの皿で2〜3万円する。
そりゃ、迷うでしょ。ってか、買えないよねえ。
というわけで、ちょっと心残りながら、列車でロッテルダムにもどる。


[ ちょっとだけロッテルダム・アムステルダム ]

ロッテルダムは、昔から港湾都市、商業交易の要だったし、今も世界最大の貿易港らしい。
第二次世界大戦で激しい爆撃を受け、町の大半が壊滅したため、ほかの町と比べ古い建物が少ない。
街中には、高層ビルが林立し、大きなデパートやショッピングアーケードなどもある。
でも、町のど真ん中に、こんな青空市場があるというのも、うれしいではないか。

    

   

ここは、火・土の週二日開かれるという。
肉、魚、野菜、花に雑貨まで、土地の人がカートをひいて品定めしていた。
生々しいので写さなかったが、肉屋には、トリ、牛、ソーセージのほか、ウサギの肉がまるごと一匹並べたあった。
魚介類が新鮮で豊富だった。どれも安い。とくに、花が安いこと!

市場のすぐ続きに、戦後まもなく建てられたという、奇抜な建物が・・・
ペンシルハウスとキュービックハウス、どちらもアパート。

   

    ペンシルハウス。                  キューブハウス。 

次女のアパートでしばしくつろいでから、インターシティでアムステルダムにむかう。
心細げに手をふる次女を、動き出す列車の窓から見送りながら、鬼の目にも落涙しばし。 

 
午後おそく、アムステルダム到着。
さすが大きな駅、駅前も賑やかだ。
駅からホテルまで歩けないことはないが、ちょい遠い。タクシーに乗る。ほんの数分だが、15ユーロ。高い。

明日昼の便で発つので、アムステルダムはただ通過し、泊まるだけ、観光する時間はあまりない。
が、それでも、ちょいとは街をぶらつきたい。荷物をおいてから、ホテル横の花市場をのぞく。

  

ここは常設の花市場、店先は地面に乗っかっているが、奥半分は川の上に張り出している。
切花から球根、土産物まで所せましと並んでいるが、やはり安い。
小さなバラの切花(日本なら一本、200円はするだろう)が、10本束で5〜600円。買って帰りたい!


このあたりは、地図で見ると市の中心だが、どちらかというと下町らしい。運河沿いに、ぶらぶら歩く。

    


これまで訪れた町すべてそうだったが、1ブロック、ぐるりに面して、びっしり家やビルが建っている。
中庭があるかもしれないが、壁は隣と合同なのか? ビルとビルの隙間がない。
日本のように、窓をあけると50cmむこうに隣の窓、ということはない。おそらく、建物の中は入り組んでいるだろう。
アンネ・フランク一家が長期間隠れ住むことが出来たのも、実感できる。


あちこちの街角にコーヒーショップがある。

   

コーヒーショップといっても、喫茶店ではない。
こちらでは公認されている、マリファナ、ハッシッシを喫煙する店で、銘柄とか産地とか選んで吸えるらしい。
いかにも怪しげな風情に見えるが、日本でいえば町の喫茶店のように、そこらに普通にある。
もちろん中には入らなかったが、表を通るだけで、甘ったるいような独特の香りが流れ出て、むせそう。

ホテルの部屋に、アムステルダムを紹介する、写真入りの立派な本が備え付けられていた。
読めないが、ぱらぱらとめくる。港湾都市、海外進出の歴史、音楽や美術の過去・現在の紹介に続いて、
ハッシッシという文字が飛び込む。さらに、ゲイ・レズのカミングアウト、飾り窓、アンダーグラウンド芸術・・・
そういえば、カフェテリアの前で見つめあっているゲイカップルがいたし、
↓ 花市場の店先には、初心者用のマリファナ栽培キッドが並んでいた。



うーん。すごい町だ


ベルギーもオランダも、石畳の道。とくに、古い町並みは道がせまいから、大きな車では不便だろう。
車も小型車がほとんど、それよりも、自転車がびゅんびゅん走っていく。
広い道では、車道と歩道のあいだに自転車道がある。
  

自転車、水上交通、トラム、いろんな交通手段が併用されている。


ホテル近くのショッピングモール街は、渋谷か秋葉原、アメ横か、といった賑わいだった。
ただし、こちらの店は閉店時間が早い。
途中、オールドダッチレストランを見つけ、入る。
せまい階段。半地下、一階、中二階、二階と、分かれた店内。たぶん、古い建物はこんなような構造なのだろう。
しかし、背の高いオランダ人には、頭がつかえそうだなあ。



肉とたまねぎを煮込んだスープ。豆のスープ。にしん。煮込み料理などが、代表的なオランダ料理。
要するに、あまりグルメではない。
質実剛健、質素を旨とする清教徒だから、というが、いやあ、これは国民性だろう。
グラスビールと、豆のスープ、チキン、サーモンを一皿ずつ注文。素朴な味。主食がわりに大皿盛りのジャガイモがついた。
はじめてのオランダ料理。二人で30ユーロだから、かなりリーズナブル。
そういえば、滞在中、ほとんど、サンドイッチかパスタばかり食べていたなあ。


翌朝散歩するも、日曜日なので閑散。
チェックインの際、空港までのシャトルバスを予約したので、そのつもりでカウンターに行ってみると、
台帳を見ながら、「ツー レイト」と言う。
「サインしたか? カードは受け取ったか? 2時間前までに予約確認をしないとダメ」と。
「ナヌ? 昨日、スタッフに聞いたとき、そんな説明は受けてない」と抗議するも、ケンモホロロで受け付けず。
ホテルスタッフの感じ、悪い! それでも、観光産業か! プンプン!
結局、タクシーで42ユーロ。アムステルダムは物価が高いと聞くが、たしかにタクシーは高い。



[ 旅を終えて ]

これまでの海外旅行はすべて、パックツアー、または、業界団体の企画で連れて行ってもらった旅行。
人任せ、お仕着せツアー。
移動、人気の観光ポイント、美術館のチケットから観覧時間まで、ガイドさんが周到に手配してくれる。
スーツケースはバスのトランクに、あるいは、別の車で先にホテルに運搬などしてくれ、
カメラと小さなバッグ一つで観光できる。
個人旅行では、それら全部、自分の責任。
19キロのスーツケースをごろごろ押したり、階段の上り下りも、えっさえっさと持ち運ばなくてはならない。
切符を買ったり、乗り換えの時間、ホームを聞いたりも、全部、自分でしなくてはならない。
列車では、日本のように親切な案内はない。どの駅でおりるのか、どのホームなのか、常に緊張感がある。
オランダ語、ベルギー語は、なんとなくドイツ語に近いのかな。
駅の表示も、スペルを追えば、なんとなくわかるが、耳で聞いてはわからない。

業界関係者との旅行では、パックツアーではいけないような高級レストランに行けるかわり、
それなりの服装を持参しなければならず、荷物がかさばる。
その点、個人旅行は着たきり雀でいられる。

ツアーや団体旅行には、管理されるわずらわしさがあるかわり、安心と楽チンさがある。
個人旅行は、時間は自由だし、興味のない場所、特に、提携先のみやげ物屋などに連れて行かれることもない。
自分の裁量という自由があるかわり、シャトルバス予約事件のように、なにごとにも自己責任が伴う。
うーん、どっちもそれぞれ長短がある。

経費の面では、どうだろう。
格安パックツアーよりは、すこしかかったかもしれない。
安全面を考えて、ホテルは、高級ではなくとも、そこそこのところを選んだ。
でも、食事も安いところしかいかなかったし、いつもなら勢いで買っていたような土産物なども、
荷物を増やしたくないから、ほとんど買わなかった。
シーズンのバカ高い時期よりは、かなり安く上げられたと思う。
ま、お金と満足度は、人によって違うだろうが。

こまごました失敗や反省点はあるが、それほど大きな問題には直面しなかった。
個人旅行ならではの楽しみ、味わっちゃったなあ。
また、どこか行きたいなあ・・・・・反省はしても、後悔はしない人である。






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