斉藤美奈子



『妊娠小説』(筑摩書房 1994)
森鴎外「舞姫」以後の小説を、(望まない)妊娠告知、という切り口で様式を分類した、小林秀夫も
はだしで逃げ出す確信犯的痛快な評論。
乱暴・強引・下品の非難も覚悟の上さ。妊娠を通して時代がわかる。

『文章読本さん江』(筑摩書房 2002)
谷崎・三島から近刊まで文章読本を俎上にのせ、料理しつつ、国語教育・作文教育と背景にある社会問題から
文章(書き手)の階層意識までを軽快に解説。
「文は服である」と喝破。男たちは、「見てくれのよさ」にこだわって「思想の包み紙」文章にこだわってきただけじゃん。

『男女という制度(21世紀 文学の創造F)』(斎藤美奈子・編 岩波書店 2001)
川上弘美・ひこ田中などなどが文学作品(コミック・ハードボイルド・少女小説から出会い系サイトまで・・)に
おけるジェンダーと表現の問題をそれぞれの切り口で説いた論9編と、編者・斎藤美奈子の案内と要約。
文学もまた時代の落し子なんだなあ・・・

『文壇アイドル論』(岩波書店 2002)
バブルという時代をキーワードに読みとく。
U 成り上がり田舎のお姉ちゃん・林真理子がなぜ正当に評価されるまで時間がかかったか、
いいとこお嬢ちゃん・上野千鶴子が、なぜ東大助教授の座を射止めたか。
対極的に見える二人の違いと類似点は・・・
V 立花隆・村上龍・田中康夫の社会現象の取り込み方。作品化の料理法。年齢とともに変化する軌跡。
なるほどねえ。。。。バブルって、ほんとに不思議な数年間だったなあ。
やっぱり、時代と作品と作品評価って、切り離せないんだなあ。などなど

『文学的商品学』    紀伊国屋書店  2004

痛快な(ときに強引な)美奈子節が楽しめるかと思ったら、意外にまっとうな文学論だった。
服装。食べ物。車。あるいはバイクから野球まで、大衆消費商品を文学がどう描いているか、
そこからなにが見えるか、文学的表現の特性と限界、などなどをわかりやすく説いた本。
とりあげた商品アイテムと、例にあげた作品が比較的身近な書物であること、も読みやすかった。


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