パリ 名残の朝 



パリ五日目 <7月18日>

同じホテルに4泊もすると、窓から見える景色が気になってくる。
ホテルがあるのは、表通りからちょっと入った、細い道が交錯しているあたり。
商店や飲食店、事務所やホテルなどが軒を並べていて、深夜までネオンが灯っている。
朝、窓から外を見下ろすと、いつも同じ場所(ビルの通用口)に老女がたたずんでいる。
老女といっても、わたしとおなじくらいの歳かも。
ホームレスらしいが、身なりはそこそこきれいだし、なぜか、いつも紙ナプキンのようなもので服をさすっている。
まるで、毛づくろいをしているみたい。
こちらも着替えなどしては、カーテンのあいだからちらちらと見ているのだが、いつのまにか消えている。
が、翌朝になると、必ず、同じ位置に同じポーズで立っている。
あの人は、どこから来て、どこへ去っていくのだろう。。。。。

毎朝、ゴミ収集車の音で目がさめる。
各家庭からだされた統一されたゴミバケツをフックのようなものに引っ掛けて、ドンガラガラガラとけたたましい音で中身をあけていく。
それとは別に、掃除人が、やはり毎朝、路肩の水栓からせいだいに水を流し、道路に吹き溜まったゴミをホウキで掃きながら、
ペットボトルや缶などを分別しながら、清掃していく。
ペットボトルや缶を道に捨てるなよ! とも思うし、日本だったら、清掃はそこに住む住人や店の人が自主的にやるものと思っていたが、
でも、それも負担に思う人もいるだろう。それより、税金で清掃人を雇用したほうがいいのかも。などとも思ったりした

閑話休題。
買ってきたサンドイッチなどで簡単に朝食をすませ、チェックアウト。
荷物をフロントに預けて、オペラ座に向かう。
土・日・水の週三日、公演のない時間帯に内部の見学ができるのだ。
とちゅう、スターバックスを見つけ、休憩。
入り口は、ふつうのスタバだが、店内は、ちょっと見にくいかもしれないが、こんな感じ
          ↓
    

きっと以前はレストランかなにかだったんだろう。古い雰囲気をそのまま残してあったが、ちゃんとネットのできる席も設けてあった。
日本だったら、全面改装しちゃうところだけどね。

ちなみに、パリでは、スタバ・マック・ハーゲンダッツなどのフランチャイズチェーン店があちこちにあった。
ロッテルダムには、スタバはないらしい。
さらに、ちなみに、パリはほんとうにスシブームらしい。
ホテルのすぐそばにも「スシハウス」とカタカナの看板の店があって、格好の目印になっていたし。
海外に行くと、どこにでも中華レストランがあって、「中国人とゴ○ブリはどこにでもいる」などと言われたりもしているらしいが、
いまや、パリでは中華よりスシハウスなんですよ、奥さん。
しかも、なぜか必ず、スシと焼き鳥がセット(苦笑)。
サンドイッチやジュースを売っているスタンドにもスシパックがおいてあったりする。
ちなみに、ネタはサーモンと巻寿司。巻の中身もサーモンとキューリ。


おっと、また話が横道にそれてしまった。
スタバで小休止したあと、いよいよオペラ座へ。
オペラ座は、コンペに優勝して設計をてがけた新進建築家(当時、30代)の名にちなんで「オペラ・ガルニエ」と呼ばれている。
ナポレオン三世の命で十数年がかりで建築されたが、できあがりを見ることなく、三世は退位、亡命している。

入り口で、でっかい黒人さんがセキュリティチェック。
中が見えるようにバッグの口をあけろ、というしぐさ。
「おかね、ある?」
「え?!」
「おかね、いっぱいいっぱいもってるね。おかねもちね!」
は! 関西のおばちゃん口調だ。
「そっちはむすめさん? きれいね。あいしてるよ。あ、こっちはまご。かわいいね」
達者な日本語だ。売店の店員も、金額を日本語で言っていた。
よっぽど大勢の日本人が来てるんだね。


    

大理石の大階段。
もう、これだけで大興奮。観光客があちこちで歓声をあげ、写真をとりまくっている。
どこを向いてもシャンデリアがきらめいて、写真を撮るには、ちょっと邪魔(苦笑)

    

幕間に談笑するロビー。まるで、ヴェルサイユ宮殿みたいに豪華絢爛で、しかも広い。
廊下をすすむと、ボックス席がいくつかが開放されていて、そこから劇場内部が見学できる。
   ↓
    

近代の劇場は、斜めのスロープ状に、扇型に座席が設けられているが、オペラ座は舞台に向かって垂直な円筒形になっている。
左側に見えるのがボックス席。二階、三階はともかく、上のほうはほんとうに天井桟敷だなあ。
さきごろ団十郎・海老蔵の公演があり、NHKでも特番が放映されていたが、なるほど、舞台が奥に広くて、傾斜が急。
団十郎は六方を踏むのに、下手にはけたそうだが、たしかに無理もない。

   

天井を見上げると、おお! シャガールの絵だ!

オペラ座の完成は19世紀。シャガールとは時代が合わないが・・・
検索してみたら、シャガールの天井画は1964年。つまり、戦後、修復の際に描かれたということだった。


    

資料室には舞台装置の模型や衣装が展示してあった。舞台好きな人にはたまらんだろう。

建物の裏側には、設計者ガルニエの胸像が飾られていた。うー。ちょっとわかりにくいか・・・
   ↓
    

ヴェルサイユ宮殿もオペラ・ガルニエも、階段を上り下りしたし、キョロキョロもしたが、美術館ほどには疲れない。
美術館って、一点一点に足を止め目を止めるから疲れるのだろうか。
それとも、絵画から意味をとらえようとするから疲れるのだろうか。
などと思いながら、大満足でオペラ座を後にする。
いよいよパリともお別れ。近くの繁華街で昼食をとり、ホテルにもどる。
荷物を受け取り、タクシーでパリ北駅にむかう。

    

ここからタリスに乗車。延々と20両以上の長〜い編成。
各車両には、スーツケース置き場があるが、それでも置ききれなくて、通路にまではみ出していた。
簡単な食堂車もついている。それだけ、利用者が多いということだね。
タリスは一路、北々東へ。ベルギーを通り抜け、ロッテルダムまで三時間、快適な旅であった。

車窓からの風景で、なんとなくベルギーに入ったかな、そろそろオランダかな、と思うくらい。
いつ国境を越えたのか、まったく意識していない。
EUは、通過も共通になり、言語こそちがえ、国境という感覚なしに行き来できる。
よって、パスポートには、なんの記録も残らない。
第一、最初にフランスに入国したときも、検印なしだったし。そこは、なんとなく、あっけなさすぎて・・・








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