SAFFARI
クルーガー国立公園(日本の四国に相当する広さの自然保護区)に隣接したロッジに宿泊。
ここで早朝と夕方2度ずつ、バギーに分乗してサファリドライブを楽しんだ。
レンジャーが運転手兼説明係り。運転席には銃を携帯している。
ボンネットの上の椅子に遠目がきくガイドがナビとして乗り込む。
わたしたちにはまったくわからないが、彼らには匂いや気配、それに足跡やフンなどで、
見分けがつくらしい。
後ろの座席に二人ずつ三列、つまり6人乗りで、さあ出発。

バギーを走らせるうち、だんだん空が明るくなる。風が心地よい。
鳥があちこちで囀る。
夜行性の動物にかわって弱い草食動物たちが動き出す。
餌や水を求めて動物たちが散歩する。
どの写真もクリックすると大きな画像になります。
Impala(インパラ)
わたしたちが最初にみた動物はインパラだった。
あわててシャッターを押しているとレンジャーに
「インパラなんかこれからいくらでも見られる。フィルムを無駄にするな」と言われた。
たしかにそうだった。

インパラは羚羊の仲間。はねるたびに、尻尾の裏側の白いところがはっきり目立つ。
一跳びで9メートルも跳躍できる。特に走り始めに後ろ足を蹴り上げる仕草がかわいい。
名前が聞き取れなかった、これも羚羊の仲間。角は角笛に使われていた。

どちらも弱い動物だからいつも群れて、子どもを守りながら走っている。
弱いから群れるかわり、群れるから目立つ。ライオンやヒョウに狙われる。
羚羊の仲間は肉食獣のご馳走だ。
Giraffe(キリン)

ゆったりゆったり優雅に歩いて優雅に高い枝の葉を食べている。

背の高いオスは上の葉を、メスは中くらい、子どもは低い枝の葉を食べる。
血圧が高いから、水を飲むため頭を下げるときは、弁が作動して血圧を調整する。
それ以外、寝るときも頭を常に上に上げておかなくてはならない。
ゴロンと寝転べないんだ。
鳥がたてがみのあたりをついばんでいる。虫を食べているのではなく、血を吸っているのだって。
それで血圧の調整をしているらしい。
角があるのはオス。オスはファミリーから離れて単独行動。
でもオス同士3頭並んで歩いていた。
あれは仲間なのかな? 兄弟かな?
Zebra(ゼブラ)

草食動物はみんな臆病だから、バギーが近づくとにげてしまう。
ファミリーをみかけた。
動物の親子はどれもかわいい。
キリンもゼブラもつぶらな瞳がかわいい。
キリンもゼブラも、年とるほど模様の色が濃くなる。
肉食獣の赤ちゃんは産まれて数日は目があかないし、一人では動けない。
草食動物の赤ちゃんは、産まれてすぐ目があき、よろよろとたちあがり乳を吸う。
数時間もすれば群れについて歩かなければならない。弱い赤ちゃんは肉食獣にねらわれる。
生存していくのは大変なのだ。
Elephant(象)
象の一団が、木をなぎ倒しながら移動する。

生まれたての小象を真ん中に、あたりを大きなボス象が警戒しながら歩いていく。

バギーにちかより、これ以上側へ来るな、と威嚇する。
リーダーは年寄りのメス。
水飲み場でもリーダーが来ると、若象は後ろにさがって場所をあける。
すごい威厳と風格だ。

いくつかのファミリーがリーダーに従って社会を形成している。
子どもたちは、2年ちかくもお母さんの乳を飲む。
そのあとも、お母さんやおばさん、長老の象から、いろいろなことを教わりながら成長する。
食べられる草、食べられない草、ライオンに襲われたときにどう防ぐか。そして、ときには交尾の仕方も。
象は一日中食べている。一日16時間も食べている。草、葉っぱ。木の実。
冬や旱魃で草がなくなると、
木の幹をはいで食べる。
象に皮をはがされた木があちこちにあった。
象にも右利きと左利きがある。よく使うキバは短く、使わないキバは長い。

それでも食べるものがなくなると、木を根こそぎ押し倒し、細かい根を食べる。
最初、なぜ倒木があちこちにあるのか、わからなかったが、すべて象の仕業であった。
倒されて枯れた木もあるが、それでもしぶとく根をはやし葉っぱを茂らせている木もあった。
自然ってすごい。
Cheetah(チーター)
チーターは動物の中で一番走るのが速い。
単独行動をしているのと、
木に登れないので、肉食獣の中では一番弱い。
6匹くらいの赤ちゃんを産むが、まともに育てられるのは1匹。
ほとんどは
ライオンやヒョウの餌食になってしまう。
1匹の子どもをつれたお母さんチーターと、別の場所では2匹の子どもをつれたお母さんチーターを見かけた。
子どもに気を配りつつ、慎重に獲物を追い詰めていく。お母さんがんばれ!
いつまでもチーター親子を見ていたいが、狩りの邪魔をしてはいけない。
それに、
自然保護区の動物たちは何世代もにわたって学習している。
バギーに乗っている人間は自分たちにとって安全であること。
そして、バギーが止まっているのはなにかがいるからだ、と。
チーターの安全のために、わたしたちは去っていく。
遠すぎて写真がうまく写せなかったのです。
Leopard(ヒョウ)

ヒョウはかっこいい!
ヒョウも単独行動。
しなやかな身のこなし。餌を探す鋭い目。
ヒョウは獲物を木の上まで引っ張りあげてから、ゆっくり食べる。
顔に斑点がなく黒い縦の線がはいっているのがチーター。
顔にも斑点があり、チーターより一回り大きいのがヒョウ。
Lion(ライオン)

ライオンの昼寝。
夜行性のライオンは昼間はぐうたら。なにしろ、18時間も寝ているのだから。
一匹のオスが数匹のメスとその子どもを率いている。

オスが獲物をとり、まずオスが食べる。それからメスたちが食べる。
強い順に餌にありつける。弱いものは最後まで分けてもらえない。
ここにいるメスの中で一頭だけあばら骨が見えるほど痩せているのがいた。
たとえ親でも情けはかけてくれない。
ボス争いでオスが政権交代すると、前のオスの子どもは見捨てられる。
強い種だけが生き残れる。自分の種しか残さない。
オスのたてがみも伊達に身を飾っているわけではない。急所である首周りを保護しているのだという。
厳しい自然の摂理。生存競争はシビアだ。
Buffalo(バッファロー)
バッファローは牛の仲間だから、一回に1頭の子を産み乳で育てる。
子どもを中心に周りをオスが囲って群れで行動する。
巨大なオスは体重が1トン近くもあるし、大きな角があるからライオンでさえ手出しができない。
初日の夕方、池で休んでいる2匹のバッファローを見かけた。
年老いて群れについていけなくなったメスだという。なんだか身につまされる。
翌日の朝、600頭の大群に出くわした。群れを追ってバギーを走らせる。

大きな池のほとりにきた。水を飲みに来たらしい。バギーを池の対岸に止める。
ところどころ、オス同士で角を突き合わせて闘っている。あちこちで交尾も始まった。
ものすごい迫力だ。
池の中にいるCrocodile(ワニ)が子どものバファローを狙っているが、あまりの大群に手、いや、口が出せない。
そうこうしているうち、バファローの群れは池の淵をまわって、どんどんわたしたちの方に押し寄せてくる。
すぐ側でオシッコはするは、ウンチはするは。臭い臭い。でも、身動きできない。
自然保護区の動物は、こちらがバギーに乗って静かにしている限り、襲ってくることはない。
騒いだり、立ち上がったり、フラッシュをたいたり、とにかく驚かせてはいけない。
バファローの群れが動くのをじっと待って、そっと立ち去る。
フンといえば、当然、あちこちに落ちている。しかし、新鮮なフン以外、ほとんど匂わない。
空気が乾燥しているからだろう。象やバファローの乾ききったフンは、草の繊維だけになっていた。
Hippopotamus(カバ)

皮膚が厚いのに乾燥に弱い。だからいつも水の中にいる。
↑の池にカバもいたが、カバはマイペース。ワニはカバを襲わない。
皮膚が固すぎるからか?
Rhinoceros(サイ)
Lion.Buffalo.Leopard.ElephantそれにRhino(サイ)がbig5だそうだ。
このbig5の全部を見る、というのは滅多にないそうだが、幸い、サイも見ることができた。
ただ、夕方だったため、カメラにおさめることができなかった。
SecretaryBird(ヘビクイワシ)

秘書鳥という名は尻尾が秘書が耳にはさむペンに似ているから。
ヘビを食べる鳥だから、地面を歩くことが多い。
木の上に止まっているのは珍しいという。
このあと、地面に降りたがモデルウォークであった。
Condor(コンドル)

ハゲタカが十羽ほど木に止まって下を見ていた。
どこかに死にそうな獲物がいるらしい。
鳥は動きが速いのでカメラに納められなかった。
黄色い顔の鳥、羽や体がルリ色の美しい鳥、白いコウノトリに似た鳥・・・
バファッローやキリン、ゼブラ、カバなど大方の動物には小鳥が共存共栄で一緒に暮らしていた。
あり塚

あり塚がそこらじゅうにある。
新しいのはまだ土の色をしている。古いのはもう土盛りのようになっている。
いろんな動物がアリを食べに来る。
でも、9年ここにいるレンジャーでさえ、まだ一度もアリクイを見たことがないらしい。

ヒョウも象の家族もバッファローの大群も、どの動物もどのシーンも、
現地でなければ味わえないダイナミズムだった。
興奮した。
しかし、帰国していま一番印象深く思い出すのは、池のまわりでインパラたちが跳ね、
ゼブラやキリン、象たちが草をはみ、水を飲む、この平和で穏やかな時間。

草食動物たちは臆病だ。あまり近くには寄れない。みんな、声をひそめる。
邪魔しないから、ちょっとだけここにいさせてね。同じ風に吹かれたいの。
360度、地平線が見える。はるか遠く、どこまでもうねうねとした平原。草原。ブッシュ。土と緑の色だけ。
空には雲が流れ、サバンナを風がわたっていく朝。

夕方のドライブを終え、ロッジへ戻る道。
日が落ちると途端にあたりは真っ暗になる。
動物の目を保護するため
ライトをつけない。
ナビの青年が、手にしたサーチライトで遠くのブッシュをゆっくり照らす。
動物がいると白く目が光る。
でも、それ以上照らし続けることはしない。
他の車のサーチライトがはるか遠くにチラチラ揺れる。それ以外、まったく光はない。
見上げれば星がまたたき、月が明るい。
こんなにも夜空は黒く、こんなにも月の光だけで木の葉が白く見えるのか。
ロッジに帰れば、ところどころに照明はあるが、その光が
届かない先は真の闇だ。
わたしたちの先祖もこうした闇を歩いたのだろう。
月明かりだけの夜でも、目がきいたのだろう。
現代人のわたしは闇の中を歩けない。闇が恐くて歩けない。
ここも実は管理された自然なのだ。
レンジャーたちは毒のある草を除去している。
旱魃で動物が困らないようパイプで水をひいているという。
あちこちにある池のどれが本当の湧き水なんだろう。
ここの動物たちは何世代もここに住んでいるから、バギーが近寄っても安心している。
餌付けこそしてないが、管理された大自然。
しかし、こうして保護しないと弱い種は耐えてしまうのだろう。
レンジャーが見張ってないと、密猟者が襲うのだろう。
本当の大自然はもっと厳しく荒々しい。と想像しながら、管理された、安全な大自然をちょこっと見せてもらった。
そうわかっていても、あの空気は格別だった。
サバンナの風に、もう一度吹かれたい。